2020年ベストアルバム20選
音楽アルバムの年間ベストを選出するという公共媒体から個人に至るまで擦られまくりな企画、私もやります。
こういう類は年末年始に行われるのが通例…
大分時機を逸している感が否めないですが、気にせずやります。
2020年にリリースされた音楽作品で、単曲配信やシングルなどを除く一般的なEPサイズ以上のある程度の曲数がパッケージングされたアルバムを対象とし、好きな20作品を選びました。
※アルバムの掲載順は説明の便宜上であり、順位とは関係ありません。
竹内アンナ『MATOUSIC』
コロナ禍の春はこのアルバムをよく外出時のお供にしていました。
「RIDE ON WEEKEND」の爽やか晴れやかな開幕が気持ちを上げてくれて、特別何もない移動中の時間でもより良いものにしてくれます。
流暢な英語が印象的な歌声は耳心地が良く、巧みさを感じる楽曲も良質。
1stならではのフレッシュな感じも良いです。
竹内アンナ Anna Takeuchi / RIDE ON WEEKEND【Music Video】
iri『Sparkle』
iriさんの低くて深みのある歌声はなぜこんなに心を掴むのでしょうか。
邦楽では他を探すのが難しい、なかなか聴けない極上の響き。
最先端を行くトラックメーカー達がアレンジをしているわけですが、彼らとの相性の良さはまさにiriさんの最高の歌声と楽曲がもたらしているものだと思います。
「Clear color」「Runaway」など序盤のダンサブルな楽曲達は格好良すぎて高揚感が半端ないし、「miracle」「Best life」などのメロウな楽曲達も心地良くて、トータルで気持ち良く聴けるアルバムの流れもすごく良い。
iriさんは今までのアルバム全作良いのですが、個人的には今作が一番好きです。
早見沙織『シスターシティーズ』
早見沙織さんを知ることができたのは2020年の大きな出来事でした。
アニメ弱者の私は恥ずかしながらTBSラジオ『アフター6ジャンクション』のスタジオ生ライブで初めて知ったのですが、とんでもなく歌が上手くて衝撃でした。
『シスターシティーズ』は先のライブで衝撃を受けた「yoso」を筆頭にそれぞれの楽曲でコラボミュージシャンとの良い化学反応が起きていて心地良いアルバムです。
声優という枠に括らずともシンガーとして非常に魅力的ですし、作詞や作曲など作家的な感覚も優れている印象なので、今後の音楽活動も注目していきたいです。
Yumi Zouma『Truth or Consequences』
数年前まで私は洋楽については弱弱の弱者というレベルでしたが、ここ数年でようやく現行の洋楽を能動的に聴くようになりました。
そしてディグって聴いていくうちにインディー・ポップとかドリーム・ポップと呼ばれるジャンルが自分の好みなのだなというのが最近分かってきました。
ニュージーランドのYumi Zoumaはまさに私の好みど真ん中で、今作も素晴らしかったです。
メロディーも演奏もバックコーラスも優美で心地良いし、何と言ってもChristie Simpsonの心身に優しく浸透していくような歌声が素敵。
2020年洋楽で一番聴いたアルバムです。
Yumi Zouma - Cool For A Second (Official Music Video)
Thundercat『It Is What It Is』
雑な言い方をしてしまえば天才です。
『Drunk』も良かったですが今作も最高。
上物が過剰でなく絶妙ですし、というかサンダーキャットのファルセットそのものが上質な上物になっています。
あっという間に時間が過ぎていくスムースなアルバムで、ここまで気持ち良く聴かせられたら圧倒的なセンスに参りましたというしかないです。
Thundercat - 'Dragonball Durag' (Official Video)
スチャダラパー『シン・スチャダラ大作戦』
アルバム先行としてリリースされたRHYMESTERとのコラボ「Forever Young」からこのアルバムまで、2020年は今までで最もスチャダラパーを聴いた年でした。
「Forever Young」やEGO-WRAPPIN’との「ミクロボーイとマクロガール」などのコラボものも素晴らしいし、特に「シン・スチャダラパーのテーマ」「スチャダラパー・シン・グス」などのシンプルなビートで展開していく楽曲が非常に良くできていて好きです。
矜持のような熟練した格好良さを感じます。
スチャダラパーとEGO-WRAPPIN' "ミクロボーイとマクロガール"(Official Music Video)
TAMTAM『We Are the Sun!』
邦楽のロックバンドではTAMTAMのアルバムが最高でした。
『Modernluv』も傑作でしたが、それ以上に好きかも。
ロックやジャズ、レゲエに民族音楽的なものまで縦横無尽な感じで格好良いです。
特に好きなのが「Worksong! Feat. 鎮座DOPENESS」「Sun Child」「Flamingos」。
昨夏は帰路時によく聴いていました。
TAMTAM - Worksong! Feat.鎮座DOPENESS
The 1975『Notes On A Conditional Form』
UKバンドではThe 1975にワクワクさせられます。
初っ端「The 1975」と「People」の緩急でカウンターを食らいましたが、バンドサウンドからエレクトロニカまでジャンルレスに作られていて、総じて楽曲が強く美しいです。
「If You’re Too Shy (Let Me Know)」のあの計算しつくされたかのようにサックスソロが登場する感じ、あれはずるいですね。大好きです。
The 1975 - If You’re Too Shy (Let Me Know)
O’CHAWANZ『Mellow Madness』
近年注目されているLo-Fi Hip Hopをテーマにしたアルバム『Mellow Madness』が傑作でした。
RHYMESTER「After 6」のサンプリングが印象的な「After Five」の社会人ならではの等身大な描写が素晴らしいし、「TOKYO」までのメロウでノスタルジックな序盤がまず見事で。
中盤以降もピアノ使いが心地良い「Sunday, Lunch Time」にとびきりキュートな「Sweet Thing」、大ネタが楽しい「10 O’CLOCK」などそれぞれの楽曲も構成も非常に良いです。
そもそも私がこのジャンルを好きなのもありますが、3MCそれぞれ声が良くてバランスも良いのと、ゆるめのラップなのでトラックと相性抜群で心地良いです。
RYUTist『ファルセット』
発表する作品のどれもが高品質なRYUTist。
『ファルセット』はまるでベストアルバムのような充実度でした。
蓮沼執太フィルによるゴージャスな演奏の大作「ALIVE」、柴田聡子さんの奇才ぶりが炸裂している「ナイスポーズ」などの新録に、シングル曲は言わずもがなで。挙げたらキリがないほど高品質な楽曲だらけです。
RYUTistのボーカル表現も豊かで、豪勢にすると起こりがちなボーカルだけ浮いているなんてこともないし、むしろアルバムの大きな軸として存在している。そんなところも素晴らしいです。
RYUTist - ALIVE【Official Video】
サンダルテレフォン『Step by Step』
アイドル方面で新たに好きになったのがサンダルテレフォン。
90年代J-POPのダンスミュージックやポストロックというのかな、ジャンルに詳しくないのであれですがメロディアスなエレクトロ系の楽曲まで良質な楽曲で構成されたアルバムでヘビロテしていました。
特にFolderを思わせる爽やか成分1000%ハウスの「Step by Step」はサビだらけかと思うほど全パート満点を叩き出しているようなキャッチーさで最高。
個人的には2020年のアイドルソングで一番好きです。
サンダルテレフォン "Step by Step" Official Music Video
RINGOMUSUME『Cool & Country』
RINGOMUSUMEのコンセプトでもある“Cool & Country”をタイトルにした初期楽曲のリアレンジアルバムが素晴らしかったです。
的確なアレンジと高い表現力が合わさり、見事に現代版にアップグレードされています。
ダンスクラシック的な「LOVE & SOLDIER」や壮大なバラード「バスターミナル」を始め、R&Bからムード歌謡的アプローチまで引き出しの豊富さを感じますし、「りんごのキモチ」で結んでいるのも綺麗。
ここまで意義深く完成度の高いリアレンジアルバムはなかなか無いと思います。
RYUTistやRINGOMUSUMEを観ていると、高品質なエンタメやアートは東京に拠点を構えなくても実現できるし、工夫次第ではローカルをアドバンテージにできるということがよく分かります。
LOVE & SOLDIER / RINGOMUSUME(りんご娘)
Khruangbin『Mordechai』
Khruangbinという最高のバンドを知ることができたのも大きかったです。
馴染みの無かったタイ・ファンクというジャンルですが、演奏のグルーヴ、どこまでも気持ち良い音色にじわじわと内から高揚します。
ジャケットも最高。
Khruangbin - So We Won't Forget (Official Video)
Hazel English『Wake UP!』
Hazel Englishのレトロで瑞々しいギターポップが最高でハマりました。
特にアップテンポでキャッチーな「Shaking」「Wake UP!」、メロウな「Combat」とか好きですね。
どの楽曲もメロディーラインが抜群に良くて素晴らしいです。
Hazel English - Wake UP! (Official Video)
evening cinema『AESTHETICS』
バンドスタイルになったevening cinemaも間違いないです。
原田夏樹さんのJ-POPど真ん中にまっすぐ投げ込んでいる感じが好きで。
一つ一つのフレーズが気持ち良くてセンスが良いし、“岡村ちゃん”にも喩えられるこってりなボーカルも癖になります。
evening cinema - 純愛のレッスン [Official music video]
the oto factory『paraíso』
2020年は夏らしいこともできず、四季で夏が一番好きな私は物悲しさを抱えていたのですが、このアルバムが物悲しさを補ってくれたような気がします。
1曲目の80’sな雰囲気の「素直になれなくて、」からラストのフュージョン「Breezin’」までずっと気持ち良いです。
全体的にキメの多さにニヤニヤさせられますし、サビの開放感がたまらない「常夏のDo Do Di Da」、踊り出さずにはいられない「R U S H H O U R」、一十三十一さんをフィーチャリングした「ラストダンスは眠れぬパライゾ feat. 一十三十一」の間違いないハマり具合…もう全曲シングル並みに名曲揃いです。
リリース時期が晩夏、北海道では完全に秋でしたので、今年はこのアルバムを外出時のお供にして良い夏にしたいです。
boy pablo『Wachito Rico』
ノルウェーのboy pabloが作り出すポップミュージックのファンです。
メロディーラインが甘美で、彼の切な味のある歌声も良い味わいがあって。
J-POPにも通じる抜群のキャッチーさ、リズムメイクも心地良くて好きです。
boy pablo - hey girl (Wachito Rico: Chapter 1)
Cory Henry『Something to Say』
Cory Henryの音楽は尋常じゃなく格好良いです。
踊り出さずにはいられない高揚感のある「Happy Days」、格好良すぎて泣ける「No Guns」などの召されるように気持ち良いグルーヴ、心にくる名曲達。
クリスマスアルバム『Christmas With You』も素晴らしかったです。
Soccer Mommy『color theory』
サブスクを利用するようになってから、今までの自分であれば出会えなかった(特に海外の)アーティストを知る機会が激増しました。
そんなサブスクきっかけで好きになったのがUSインディーのSoccer Mommyのアルバム。
軸に置かれたギターと澄んだ歌声がとても気持ち良い。
Predawnの清水さんも2020年よく聴いたアーティストに挙げていらっしゃって高まりました。
Soccer Mommy - circle the drain (Official Music Video)
広瀬愛菜『17』
広瀬愛菜さんのアルバムは2020年最大の驚きでした。
「Travel In My Mind」はめちゃくちゃクールで最高ですし、「虹の向こうへ」「memory」といったバラード、アイドル歌謡の趣ある「Tiffany Blue」「17」まで上質な楽曲ばかり。
楽曲の質の高さだけでなく、全体を通して広瀬さんの歌唱が素晴らしくて、表現力がアルバムの質をさらに押し上げているというか。
シティAORなアルバムとして非常に完成度が高いです。