北海道初ライブ記念にヌュアンスを掘り下げてみる
先月、札幌のSound Lab moleで開催されたライブイベント『HOKKAIDO IDOL EXPO Vol.2』。
NUANCE(ヌュアンス)にとって初めての北海道ライブとなりました。
きっかけは2年前のコロナ禍
ヌュアンスは2017年、神奈川県横浜市の商店街で行われている企画「ガチ!シリーズ」の第7弾「ガチチョコ!〜ガチでうまい横浜の商店街チョコスイーツNo.1決定戦」のテーマソングを歌うアイドルユニットとして結成されました*1。
私のヌュアンスとの出会いは、ラジオで「タイムマジックロンリー」を聴いたのが始まり。
奇妙でありながら絶妙にポップで癖になる秀逸な楽曲で、こんな面白い楽曲を歌うアイドルがいるのかと興味を持ち、サブスク等でヌュアンスの音楽を聴くようになります。
やがてコロナ禍になりSNSでバトンが流行っていた2020年の春頃、Twitterでmisakiさんのアカペラと弾き語りの動画を観たことをきっかけにそれぞれのメンバーにも興味を持ち始め、渋谷Gladにて開催されたワンマンライブの配信でヌュアンスのパフォーマンスを初めて拝見して好感を持ち…という流れでフォロワーになっていきました。
ユニークな音楽とエンタメ心のあるアイドル
ヌュアンスの楽曲はエッジの効いた風変わりな楽曲もあればストレートな歌謡ポップもあり、曲調の幅の広さが魅力的。
横浜の情景を描いた歌詞に、ポエトリー的なパートとクールなトラックが最高な「ハーバームーン」。
華やかなホーンと太いベースに心が踊る、ヌュアンスで最も瑞々しいアイドルポップ「初恋ペダル」。
こんなタイプの異なる2曲をどちらも同じアイドルが歌ってるのが面白い。
サウンドプロデューサーである佐藤嘉風さんが作り出す楽曲が素晴らしいです。
またユニークなイベントを開催したり、SNSでの発信などもユーモアがあって、エンタメ的な面白さを追求しているところに惹かれます。
ヌュ1曲目→共演者1曲目→ヌュ2曲目→共演者2曲目…の要領で1曲ずつ交互に入れ替わりながらシームレスにパフォーマンスしていく2マンライブ『ダブライズ』*2とか、4曲程度のセトリを募集して当日に抽選して打合せしてライブするまでの1セットを全て見せる『オレのセトヌュ』*3とか、主催フェス『フェヌュ』の空き枠の出演者を当日に急遽SNSで募集してしまう*4とか…
どれも絶妙に上手いし面白くて、ヌュアンスチームの企画力に感心させられます。
このように楽曲も活動も個性的で独特でありながら、メンバーの雰囲気がナチュラルで、丈の長いシックな衣装でアートワークも含めて品があるところも良いなと思います。
ヌュアンスは普段は東京のアイドルさんと変わらないようなライブ活動をしていますが歌っている楽曲は横浜を感じるものであり、東京のアイドルさんではまず縁の無い横浜の商店街のイベントに出演したり商店街をテーマにした歌*5も歌っています(これがまためちゃ良い曲なのです)。
個人的に地元との結び付きのある活動をしていて楽曲にもどこか郷愁が乗っかるようなローカル拠点のアイドルにより惹かれるので、横浜というローカル拠点のアイドルであることもヌュアンスの大きな魅力だと思っています。
「nuance」から「NUANCE」へ
長らく同じメンバーで活動してきたヌュアンスですが、昨年12月にみおさん、今年3月にmisakiさんが脱退。
4月からは新メンバーの稀咲妃菜さん、蓮水恭美さん、汐崎初音さんを加えた5人体制になり、ユニット名のアルファベット表記が小文字の「nuance」からキャピタルの「NUANCE」に変更、従来のメンバーのわかさんと珠理さんに苗字がつく(わか→川井わか、珠理→環珠理)という大きな変化がありました*6*7。
ヌュアンス初めての北海道ライブ
ヌュアンス初めての北海道は新体制のデビューライブ前ということで川井わかさんと環珠理さんの2人による1ヶ月限定の“ぬゅあんつ〜”でのライブとなりました。
マイナスになりかねない事柄をイベント化してプラスに変えていくあたりは流石です。
コロナがいつ収まるかわからないこのご時世で、北海道とは縁遠い横浜のアイドルを生で観られる日は遠い先…というか来ないだろうなとすら思っていました。
初めての北海道ライブが決まったときは信じられないくらい嬉しかったです。
当日は上手側2〜3列目あたりのまずまず良い位置で観られたのですが、今までメディアを通して観ていたヌュアンスが目の前に現れて、「セツナシンドローム」の幻想的なイントロが流れた瞬間の高揚感は凄まじかったです。
「セツナシンドローム」はラップパートがありサウンドもクールな趣ながら芯はストレートに良いポップスという感じで、いつ聴いても名曲。
白地と黒地のシックな衣装で舞うわかさんと珠理さんが素敵。
そして4曲目の「tomodachi」。
この曲も非常に好きなので、聴けて嬉しかったです。
ヌュアンスらしい独特であやしくクールな楽曲で、トラックがめちゃ格好良い。
この曲調で“友達になりたいです”“仲良しになってください”と歌う面白さが良いし、対バンイベントにもぴったりな選曲。
サビのわかさんの手振りのキレとシルエットが好きで注目して観ています。
続いて「タイムマジックロンリー」。
変態的なトラックは箱でカマされるとより破壊力があるし、忙しなくマイクリレーして動き回るパフォーマンスは人数以上のダイナミックさがありました。
さらに混沌から一転して「sky balloon」。
ヌュアンスの中でも純度が高いというか90年代J-POP感のあるハッピーな曲で、サビで手を挙げて一体感が生まれて非常に良い雰囲気でした。
「sky balloon」が収録されている最新アルバム『i-k-i「un」』、すごく良いんですよね。
今までのアルバムで一番好きかもしれない。
昼の部ラストは「wish」。
上述のGladワンマンのラストだったり、大事な時に演る曲という印象を持っていたので、まさか北海道の地で生で聴けるとは。
わかさんと珠理さんが向かい合って舞うシーンが綺麗でした。
アップテンポの楽曲で締めるアイドルさんが多かったから、「wish」は際立って良かったし印象に残りました。
夜の部の1曲目「雨粒」ではSNSでよく目にする轟音を生で体感。
でも轟音より綺麗さしなやかさという言葉のほうがこの曲にはハマりそうな気もします。
夜の部は上の写真で着ているパステルカラーのZ○Z○の衣装でした。
仮の衣装なんだろうけど似合ってるし、おそらく1ヶ月間限定の貴重なパフォーマンスだと思うので、生で観られて良かったです。
2曲目の「サーカスの来ない街」も嬉しかったな。
珠理さんの歌声がキュートでめちゃ良かったです。
ハイライトは「ハルシオン」。
ヌュアンスやタイトル未定やSANDAL TELEPHONEなど様々なアイドルの楽曲で振付をされているいどみんさんがステージに登場し、3人でダンスパフォーマンス。
匂わせはあったかもしれませんが、予告なしのサプライズ。こういうの嬉しい。
いどみんさんは想像以上に背の高い方で驚いたし、そりゃあ当然なんですけど圧巻の表現力で。
パープルのいどみんさんに負けじとグリーンのわかさんとピンクの珠理さんも芯のある歌とダンスで応えていて、素晴らしいコラボでした。
ヌュアンス初の札幌ラストは「タイムマジックロンリー」。
昼の部とはまた違った締め、これも最高。
見様見真似で高速クラップも頑張って楽しみました。
MCの時間は少なかったけれど、イベントに呼んでくれたタイトル未定さんにしっかり感謝を述べつつ「また雪の無い時期に呼んでください!」とユーモアを入れるあたりがヌュアンスらしくて良かったです。
今はヌュアンスにとっては過渡期でいろいろと準備も大変だったと思いますが、遠い北海道の地でスペシャルなライブをしてくれたエンタメ心に感動しました。
ポジティブに観られた“ぬゅあんつ〜”
今回のライブですが、正直観に行くまでは前向きになりきれず、数週間前に至っては観に行くのを止めようかと考えていました。
RINGOMUSUME(りんご娘)のメンバー全員卒業、O'CHAWANZの現体制終了と推しているアイドルさんの“大切なお知らせ”が次々に来て、さらにはミサキサンの脱退。
ヌュアンスにハマるきっかけでもあり、歌もお喋りも上手でエンタメ的な部分でも率先して引っ張って空気を作っていたミサキサンが脱退したショックは大きかったし、今後のヌュアンスはどうなるのか…という不安な気持ちもあったので、簡単には切り替えられませんでした。
しかしヌュアンスに残ってくれたわかさんと珠理さんとチームの心意気を感じて次第に変わっていき…
結果、観に行って本当に良かったです。
メンバーが脱退して間もないし完成形ではないですが、わかさんも珠理さんもやっぱり良い声だなと思いましたし、それぞれ個の力が増していてサイズダウンを感じさせないパフォーマンスでした。
想像以上にポジティブに観られた“ぬゅあんつ〜”でした。
やはり実際に観ないとわからないことってあるなと実感したので、北海道まで来てくださり本当に感謝です。
5人の新体制、配信などでちらっと観た程度でまだどんなライブをするようになるのかわかりませんが、新メンバーの蓮水さんはどうやら元々バンド畑の人のようですし、ヌュアンスチームのこれまでの活動や音楽へのこだわりからして、何となく良いものになっていくのではないかなと思います。楽しみに見届けたいです。
新体制でもまた来てくださることを願っています。また雪の無い時期にぜひ。
仕事です!#ヌュアンス #ヌュ #nuance #NUANCE pic.twitter.com/Yur8pJ8Vng
— nuance_official (@nuance_official) April 15, 2022
北海道ありがとうございました❗️
— nuance_official (@nuance_official) April 16, 2022
みんなの懐の広さが北の大地と同じ規模だった…。感謝。3ヶ月後ぐらいにまた来たい(具体的)
次回は大阪🐙
21はぬゅあんつー
22はつーとフライングNUANCE(5人)
でお届け。
チケット絶賛発売中🎫
*いどみん先生は来ません#ヌュアンス #ヌュ #nuance #NUANCE pic.twitter.com/9gxs2ZfFnu
これにて任務完了!#ヌュアンス #ヌュ #nuance #NUANCE #仕事です pic.twitter.com/a3yPFLo9S5
— nuance_official (@nuance_official) April 16, 2022
セットリスト
HOKKAIDO IDOL EXPO Vol.2 DAY1 昼の部
- [日時] 2022年4月16日(土)11:30〜
- [会場] Sound Lab mole (北海道札幌市)
- セツナシンドローム
- i=envY
- ルカルカ
- tomodachi
- タイムマジックロンリー
- sky balloon
- wish
HOKKAIDO IDOL EXPO Vol.2 DAY1 夜の部
- [日時] 2022年4月16日(土)17:00~
- [会場] Sound Lab mole (北海道札幌市)
*1:ガチ!オフィシャルサポーターnuanceのガチあげ!食べ歩き! | ガチチョコ!
*2:https://twitter.com/nuance_official/status/1272012852660826112
*3:https://twitter.com/nuance_official/status/1257279861632032769
*4:https://twitter.com/nuance_official/status/1457150815970512896
*5:「君待ち商店街」, 「We Love 商店街」(佐藤嘉風・N.U.・地球特奏隊イヌスターヅ・nuance名義)
*6:https://twitter.com/nuance_official/status/1509893349595291652
*7:https://twitter.com/nuance_official/status/1509893354519425029